こんにちは、KEISUKE.です。
昨夜はお店を1時間早く閉めて、スタンダードブックストア心斎橋さんで開催されたトークイベント『今の時代の民藝とは』に参加してきました。
ちなみに、私と民藝の出会いについては過去のブログにも書いてますので、是非読んでみて下さい!! ☞ 「民藝」との出会い
さて、今回のトークイベントのゲストは、
この春にNHKで放送された「趣味どきっ! 私の好きな民藝」にもご出演されていた明治大学准教授で哲学者の鞍田 崇 さん。
陶芸家で滋賀県立陶芸の森美術館館長の松井 利夫 さん。
クリエイティブディレクターでgraf代表の服部 滋樹 さん。
の3人。
そして、このイベントを企画したのは、京都造形芸術大学大学院の24歳の院生(mingei +〇 / みんげい と という屋号で活動、インスタグラムアカウント @mingei.to)ということに驚いてしまいました!!
会場には想定を大幅に上回る150名強の方が参加し立ち見も出る程で、「民藝」に対する関心の高さを感じました。
今日は、そこでの話を私なりに(?)解釈してお伝えできればと思います。あくまで無知な私の私見によるものなので、そこのところご容赦願います(汗)
冒頭、「民藝」のアクセントについて話題になりました!(笑)
私もNHK「私の好きな民藝」を観ていて違和感を感じ妻と話していたのですが、SNSなどでも話題になっていたらしく…、鞍田さん曰く、結論は誤りではないそうです(笑)
で、本題に入っていくのですが、
まず、このイベントを企画したような若い世代でも「民藝」がある程度の存在感を表しているなかで、「民藝」とは単なるコンテンツなのか?それとも思想なのか?というところから始まっていきます。
確かに、「民藝」と謳っておけばモノが売れる状況にもある今日この頃…
そこで、松井さんはこのような主旨ことを言います。
「民藝は最近丸くなった。広く一般の人にも行き渡ってきたからだ。しかし、そもそも民藝は尖っていた。それは金持ちのボンボンが時代のアンチテーゼとして取組んだ運動・活動のひとつ。」
では、何故その角が取れていったのか?
それは、「民藝」の定義の振れ幅の大きさにあります。
冒頭の挨拶で大学院生が「民藝」の代表的人物として挙げたのは、河井寛次郎でした。
確かに、民藝活動家の一人でしょうが、何か私的にはすっと入って来ない違和感…。河井寛次郎の作品は、いわゆる「用の美」とは異なるイメージが私にはあったからです。ただし、その作品に銘を打たない等、作家性を消している部分において民藝に寄っているところもあるという解説もありました。
そして、河井寛次郎と対極にいる人物として挙げられたのが、濱田庄司です。
濱田庄司のスゴイところは、つくり手としてよりも、決して良い土が採れるわけでもない「益子」を産地にしたこと。そして、その地で「民藝」をライフスタイルの域まで昇華させたこと。
この濱田寄りの「民藝」が、現代の人たちに影響を与えているのではないか?というような解説でした。
私がこの2時間のトークイベントを通して
共感というか、納得というか、腑に落ちたというか
ことは、3つあります。
最初に、「民藝」は「利他」であること。
民藝はアートと違い、自己主張するものではなく、使い手の立場に立ってデザインされていく点が挙げられます。言い換えると、使い手のこと、使い手の暮らしのこと、使い手がどのような環境で暮らしその道具をどのような場面で使うのかを考えなければ、生活の中に末永く取り入れられることはないでしょう。つまり、相手を思いやるこころが民藝には必要だということです。
次に、「民藝」には「女性」性があるということ。
「民藝」は「工芸」の中でも「手工芸」すなわち「手仕事」にフォーカスしていて、敢えて言うならば、こつこつとやっていく「手仕事」は男性より女性が得意という観点から、「民藝」の「女性」性というキーワードが出てきました。そして、なぜ今「民藝」かという問いの答えのひとつとして、昨今言われている、「女性の社会進出」や「女性活躍」など、「女性」の働き方・生き方がフォーカスされている現状とシンクロしている部分があるのではないか?という興味深い考え方がありました。
最後に、「アート」と「民藝」の違いについて。
鞍田さんは、
「アート」:何かを破壊する力を有するもの
「民藝」:破壊するものではなく、営みの中に馴染み溶け込んでいくもの
松井さんは、
「アート」:買った時から古くなるもの
「民藝」:共に生きていくことで付加価値を高めていくもの
おそらく、「民藝とは?」の答えは見つからないのではないかと思います。自分自身の中で常に問うていくもので、且つ、変化し続けるもののような気がします。ただ、今回、いろんな視点・考え方の「民藝」に触れることが出来る時間を得たことは、私にとってとても有意義な時間で、これからも自分なりの「民藝」という答えを探す旅を続けていきたいと思わせる貴重なものとなりました。
長文になってしまい、申し訳ありません...(汗)
今回も最後まで読んでいただきまして本当に有難うございました!!
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